- 虚血性大腸炎とは
- 虚血性大腸炎の原因
- 虚血性大腸炎の三大症状
- 虚血性大腸炎は放っておくと
どうなる? - 虚血性大腸炎の検査・診断
- 虚血性大腸炎の治療・どれくらいで
治る? - 虚血性大腸炎になったら
食べてはいけないものは?
虚血性大腸炎とは
虚血性大腸炎とは、大腸へと栄養を送る血流が低下することで、大腸の粘膜が障害され、炎症や潰瘍が生じる病気です。特に、高齢女性での発症頻度が高くなります。
左側腹部~下腹部にかけての強い痛み、下痢、血便が代表的な症状となります。血便の量は比較的多く、便器が真っ赤になることもありますが、早期に適切な治療を行えば、命を落とすようなことはほとんどない病気です。
落ち着いて、まずは当院にご相談ください。
3つの重症度分類
粘膜の損傷の深さによって、以下のように分類されます。
一過型
炎症が、粘膜内または粘膜下層に留まっているタイプです。全体の約6割を占めます。
一時的に虚血(組織・細胞に血液が十分に供給されていない状態)になりますが、その後解消します。
狭窄型
損傷が深く、筋層に及んでいるタイプです。全体の約3割を占めます。
腸管が狭くなり、内容物の流れが妨げられます。腸閉塞に至ることもあります。
壊疽型
深刻な虚血状態が続き、大腸の細胞が死んでしまいます。
重度の腸炎となり、放置していると命を落としてしまうこともあります。
虚血性大腸炎の原因
虚血性大腸炎の原因としてもっとも多いのが、便秘です。便秘そのもの、あるいは強くいきむことで腸管の内圧が高まり、大腸の血管が圧迫され、虚血状態となります。
その他、脂質異常症や糖尿病・高血圧による動脈硬化、および生活習慣の乱れ、ストレス、脱水状態、冷えなども、虚血性大腸炎の発症リスクを高めます。
虚血性大腸炎の三大症状
- 左側腹部~下腹部にかけての強い痛み
- 下痢
- 血便
典型的なケースでは、左側腹部~下腹部にかけての強い痛みを感じてトイレに行くと、下痢や血便が出ます。血便は、時に便器が真っ赤になるほど大量に出ます。この症状は、損傷を受けた大腸の粘膜が剥がれることで起こります。
その他、強い腹痛に伴い二次的に冷や汗、吐き気・嘔吐などを起こすこともあります。
虚血性大腸炎は放っておくと
どうなる?
虚血性大腸炎は、早期に適切な治療ができれば、比較的危険度の低い病気と言えます。
しかし、放置していると狭窄型や壊疽型へと進行し、長期に及ぶと腸閉塞を起こすこともあります。緊急手術が必要になったり、命を落としてしまったりする可能性もあるため、放置せず、お早目に当院にご相談ください。
虚血性大腸炎の検査・診断
問診では、症状、既往歴、服用中の薬などについて詳しくお伺いします。また腹部の聴診・触診も行います。
その上で、腸管の形状や便秘の状態を調べるレントゲン検査、炎症の拡大を観察する超音波検査、大腸カメラ検査などを行い、診断します。
大腸カメラ検査では、カメラを介して直接病変部を観察できます。虚血性大腸炎と似た病気を除外するという意味でも有効です。
腸管の狭窄によって大腸カメラ検査ができない場合には、CT検査・注腸X線検査などに対応する病院をご紹介いたします。
虚血性大腸炎の治療・
どれくらいで治る?
ほとんどの場合、保存的治療により完治が可能です。
一方で手術が必要になるケースもあり、その場合は速やかに提携する病院をご紹介します。
保存的治療
整腸剤の内服を行い、ご自宅で安静にしていただきます。食事は摂っていただけますが、腸に負担をかけないように制限が必要です。腹痛・下痢・血便が高度である場合には、入院の上、点滴で水分・栄養を補いながらの絶食期間が必要になることもあります。
保存的治療では通常、数日~2週間くらいで症状が落ち着きます。
手術
保存的治療で十分な効果が得られない場合、腸管を切除する手術が必要になることがあります。
虚血性大腸炎になったら
食べてはいけないものは?
受診された際に改めてご説明しますが、虚血性大腸炎の症状が現れた時、そして治療期間中は、以下のような食べ物はお控えください。
また、虚血性大腸炎は再発しやすい病気です。
症状が落ち着いて食事制限がなくなってからも、これらの食品の摂り過ぎは避けることをおすすめします。
高脂肪の食品
揚げ物、脂身の多い肉、バター、ラードなどは消化に時間がかかり、胃腸の負担が大きくなります。
刺激の強い食品
香辛料、カフェイン入り飲料なども腸の粘膜を刺激します。カフェインはコーヒー・紅茶以外にも、エナジードリンク、緑茶などに多く含まれているため、ご注意ください。
食物繊維の多い食品
きのこ類、海藻類、生野菜、全粒穀物、豆類などに多く含まれる食物繊維は、腸を刺激し、症状を悪化させる可能性があります。
アルコール
腸の炎症を悪化させます。治療が終わってからも、しばらくは控えるようにしてください。
スナック菓子・甘いお菓子
どちらも消化が悪く、胃腸への負担となります。
炭酸飲料
炭酸は、腸を膨張させ、腹部不快感を引き起こすことがあります。

