- 過敏性腸症候群とは
- 過敏性腸症候群の原因は
ストレスのせい? - 過敏性腸症候群の症状チェックリスト
- 過敏性腸症候群の重症度は
セルフチェックできる? - 過敏性腸症候群の検査・診断
- 過敏性腸症候群の治し方
- 過敏性腸症候群におすすめの食べ物・
食べてはいけないものは?
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群とは、検査を行っても明らかな消化器の疾患が認められないにもかかわらず、腹痛・便秘・下痢といった症状が1ヶ月以上繰り返される状態を指します。またこれらの症状が、排便によって一時的に軽快しやすいという特徴があります。
過敏性腸症候群は、その出現する症状に応じて、下痢型・便秘型・混合型などに分けられます。
20~40代の、比較的若い世代に多く見られます。
過敏性腸症候群の原因は
ストレスのせい?
過敏性腸症候群は、ストレスによって自律神経のバランスが崩れることで、腸の蠕動運動に異常が起こり発症すると言われています。
ストレスおよび自律神経の乱れにかかわる生活習慣としては、過労、睡眠不足、不規則な生活、偏った食事、運動不足なども挙げられ、これらの過敏性腸症候群のリスク因子になるものと考えられます。
また、腹痛や下痢への不安がストレスとなり、症状がさらに悪化してしまうというパターンも見られます。
過敏性腸症候群の
症状チェックリスト
- 腹痛、お腹がゴロゴロ鳴る
- 便秘や下痢
- 残便感
- 排便によって症状が一時的に和らぐ
- 排便回数が日によって2回以上の差がある
- ストレスを感じた時に症状が出る
- 便の形が悪い
2週間以上、上記のような症状が続く・繰り返される場合には、当院にご相談ください。
症状別の4つの種類
下痢型
下痢が主体となるタイプです。特に、男性によく見られます。
1日に数回以上、水のような下痢があります。
便秘型
便秘やお腹の苦しさが主体となるタイプです。特に、女性によく見られます。
便は多くの場合、硬くなります。
混合型
下痢型と便秘型を繰り返すタイプです。
お腹や便の状態が不安定であることが、大きなストレスとなります。
ガス型
下痢型・便秘型・混合型に分類できないタイプです。
頻繁におならが出たり、お腹が鳴ったりといったケースが見られます。
過敏性腸症候群の重症度は
セルフチェックできる?
診断では、腹痛の強さや頻度、腹部膨満感の強さ、排便への不満・日常生活への影響などを考慮して、重症度を判定します。
例を挙げると、週1回以上の腹痛が3ヶ月以上繰り返されているケース、腹痛・便秘・下痢といった症状によって仕事や家事・子育てなどに影響が出ているといったケースでは、重症判定となる可能性が高くなります。
もちろん、これらに該当しない場合でも、過敏性腸症候群と診断されることはあります。上記はあくまで目安とし、気になる症状が続く場合は、お早目にご相談ください。
過敏性腸症候群の検査・診断
問診では、症状、日常生活への影響、既往歴、服用中の薬などについてお伺いします。また症状が現れるきっかけ(ストレスがかかった時など)に思い当たることがあれば、お聞かせください。
その上で、血液検査、尿検査、便潜血検査、大腸カメラ検査などを行い、診断します。これらの検査は、大腸がん・甲状腺機能亢進症などの他の病気でないことを確認するための検査となります。
当院では、内視鏡専門医である院長が、確実性・安全性が高く、苦痛の少ない大腸カメラ検査を行っております。どうぞ、安心してご相談ください。
過敏性腸症候群の治し方
過敏性腸症候群の治療では、生活習慣の改善と薬物療法を行います。
生活習慣の改善
過労、睡眠不足、不規則な生活、食事の偏り、運動不足などがあれば、改善のための指導を行います。またストレスについて、診察の中でできる限り絞り込み、回避・軽減できる方法、ストレスの解消方法などをアドバイスさせていただきます。症状が落ち着いてからも、再発防止のため正しい生活習慣を維持しましょう。
なお当院では、腸内フローラ検査(自費)にも対応しております。ご希望がございましたら、お気軽にご相談ください。
薬物療法
腸の働きをコントロールするお薬、便の硬さをコントロールするお薬、腸内フローラを整えるお薬など、症状やお身体の状態に合わせて処方いたします。
過敏性腸症候群に
おすすめの食べ物・
食べてはいけないものは?
過敏性腸症候群の発症や悪化には、食事も影響していると言われています。
おすすめの食べ物、食べてはいけないとされている食べ物をご紹介します。
おすすめの食べ物
食物繊維の豊富な食品
玄米、ごぼう、ニンジン、きのこ類、ジャガイモ、こんにゃく、納豆、海藻類、乾物、バナナ、リンゴ、いちごなど、食物繊維の豊富な食品がおすすめです。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂ることも大切です。
低FODMAP食
「FODMAP」とは、小腸で分解や吸収されにくい糖類の総称です。FODMAPが多い「高FODMAP食」を避け、FODMAPの少ない「低FODMAP食」を中心に摂ることで、過敏性腸症候群の症状の改善が期待できます。
主な低FODMAP食には、以下のようなものがあります。
- 米、玄米
- 十割そば、ビーフン、フォー
- 卵、牛肉、鶏肉、豚肉
- 魚
- トマト、大根、ほうれん草、カボチャ、じゃがいも、人参
- 木綿豆腐
- バナナ
- メープルシロップ
- バター、マーガリン
- 緑茶、紅茶
食べてはいけないもの
消化に時間がかかる食品
高タンパク・高脂質の食品、カフェイン入り飲料、お酒、香辛料などの刺激物は、少なくとも治療中は避けるようにしましょう。
牛乳・乳製品
(乳糖不耐症の方の場合)
乳糖不耐症の方は、牛乳や乳製品を口にすることで、腹痛や下痢が悪化するおそれがあります。
高FODMAP食のうち、腹痛や下痢を誘発するもの
小腸で分解や吸収されにくい糖類を多く含む「高FODMAP食」も、全て食べてはいけないというわけではありません。また現実的に、すべてを毎日の食事から除外するのは困難です。食べた時のお腹や便の調子を見て、合わない高FODMAP食に限り、食事から取り除きます。
主な高FODMAP食には、以下のようなものがあります。
- 小麦
- タマネギ
- ニンニク
- 大豆、ひよこ豆
- 牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム
- ハチミツ
- 桃、りんご、スイカ
- ソルビトール、キシリトールといった人工甘味料
- きのこ類

